2026年7月23日
目次
複数の火災保険に加入しているケースは意外と多い
住宅を購入したときや引っ越しをしたタイミングで、気づかないうちに火災保険を重ねて契約しているご家庭は少なくありません。
住宅ローンを組んだ銀行から勧められた保険と、以前から加入していた共済がそのまま残っているというパターンもよく見かけます。
自分では一つしか入っていないつもりでも、家族名義で別の保険に入っていることもあり、意外な落とし穴になりがちです。
なぜ火災保険が重複してしまうのか
火災保険の重複は、多くの場合本人の意図しないところで発生します。
新居の購入時に不動産会社から紹介された保険にそのまま加入し、以前住んでいた家で契約していた保険の解約手続きを忘れてしまうケースが典型的です。
親から相続した住宅に別の保険がかかっていた、というご相談もよく寄せられます。
家財保険と建物保険を別々の会社で契約しているケースも、実質的な重複に該当します。
重複加入で起こりがちなトラブル
複数の火災保険に加入していると、いざ被害が発生したときに「どちらに連絡すればいいのか」で迷ってしまいます。
判断を誤ると、申請の手続きが長引いたり、想定していた金額を受け取れなかったりする事態にもつながります。
重複していることに気づかないまま長年保険料を払い続けている方も多く、家計にとって大きな負担になっている実態もあります。
共済と火災保険の組み合わせにも要注意
民間の火災保険だけでなく、県民共済やJA共済といった共済制度に加入している方も多いはずです。
共済も火災保険と同じように住宅の被害を補償してくれる仕組みですが、加入していること自体を忘れているケースが目立ちます。
特に県民共済は月々の掛け金が安く、家計簿にも表れにくいため見落としが起きやすいのが実情です。
共済と民間保険の両方に加入している場合も、重複加入と同じ扱いになると覚えておきましょう。
1. 保険料を二重で払っている可能性がある
2. 申請先の選び方で受け取れる金額が変わる
3. 二重取りは法律で禁止されている
4. 早めに補償内容を整理することが大切
複数加入していても両方から満額受け取れるわけではない
「二つの保険に入っていれば、二倍の保険金がもらえるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
残念ながら、火災保険の世界ではそういった仕組みにはなっていません。
実際の損害額を超える保険金は、どんなに多くの保険に加入していても受け取れない決まりになっています。
この基本を知らないまま申請してしまうと、後々トラブルの原因になることもあります。
損害保険の基本ルールとは
火災保険をはじめとする損害保険には、「利得禁止の原則」という大原則が存在します。
これは、保険を利用することで損害額を上回る利益を得てはいけないというルールです。
つまり、実際に受けた被害を金銭で埋め合わせることが目的であり、儲けを出すための仕組みではありません。
この考え方は、日本の保険業界全体に共通する重要な決まり事です。
実損てん補という仕組みを知っておこう
火災保険の多くは「実損てん補」という方式を採用しています。
被害を受けた住宅を修理するのに必要な金額が、そのまま保険金として支払われる仕組みです。
仮に100万円の修理費用が発生した場合、複数の保険会社から合計100万円が支払われることになり、それ以上の金額を受け取ることはできません。
実損てん補の仕組みは、契約者を守ると同時に、公平な保険運営を支える柱にもなっています。
申請はどちらの保険会社にすべきか判断する基準
複数の保険に加入している場合、どちらに申請するかで受け取れる金額や手続きのスムーズさが変わってきます。
申請先を決める際は補償範囲・保険金額・免責金額の三つを必ず比較してから判断しましょう。
一見同じような火災保険でも、細かい条件は保険会社ごとに大きく異なっています。
補償範囲を比較して選ぶ
まず確認したいのが、それぞれの保険がどこまでの被害をカバーしてくれるかという点です。
火災による損害だけを補償するシンプルな契約もあれば、風災・水災・落雷・雪害まで幅広く対応するタイプもあります。
今回の被害がどの原因で発生したかを整理し、その原因を確実に補償してくれる保険を優先しましょう。
補償対象外の保険会社に申請しても、時間の無駄になってしまうため注意が必要です。
免責金額や保険金額の違いを確認する
免責金額とは、被害額のうち自己負担しなければならない金額のことを指します。
免責金額が低い保険を選んだほうが、手元に残る金額が多くなる傾向にあります。
また保険金額の上限も保険会社によって設定が異なるため、被害額が大きい場合は上限の高いほうを選ぶと安心です。
契約書の細かい部分にこそ、判断の鍵が隠されています。
特約の有無で決める方法
火災保険には、さまざまな特約がオプションとして付けられます。
臨時費用特約や残存物取片づけ費用特約が付いていると、修理費以外の出費もカバーしてもらえます。
特約が充実している保険会社に申請したほうが、最終的な受取額が大きくなるケースも多いです。
契約時に「使う予定はない」と思っていた特約が、いざというときに大きな支えになってくれます。
実際の支払い実績や対応スピードも比較材料に
紙面上のスペックが同じに見えても、実際の対応の速さや査定の姿勢は保険会社ごとに差があります。
過去に自分や家族が申請した経験があるなら、そのときの対応の丁寧さを思い出してみてください。
知人や近所の方の体験談も参考になりますし、口コミサイトで評判を確認するのも一つの方法です。
災害時は保険会社の窓口が混み合うため、対応のスピード感は受取までの日数にも直結します。
1. 補償範囲は今回の被害原因をカバーしているか
2. 免責金額はいくらに設定されているか
3. 使える特約があるかどうか
実際のケースで見る申請先の選び方
具体的なイメージがつかめないと、なかなか判断に踏み切れないものです。
ここでは、よくある被害のパターンに沿って、どちらの保険会社を選ぶべきかを一緒に考えていきます。
自分の状況に近い例があれば、ぜひ参考にしてみてください。
台風による屋根の破損の場合
台風で瓦がはがれたり雨樋が壊れたりした場合、補償対象になるのは「風災」の補償が付いている保険です。
A社の保険には風災補償があり免責金額が二十万円、B社は風災補償があり免責金額が三万円というケースを想像してみてください。
被害額が五十万円だった場合、B社に申請したほうが自己負担が少なく手取りが多くなります。
免責金額の違いだけで、受取額に十七万円もの差が生まれることを覚えておきましょう。
水漏れや給排水設備のトラブル
マンションの上階からの水漏れや、給排水管の破損による被害には「水濡れ補償」が必要です。
古いタイプの火災保険には水濡れ補償が含まれていないこともあるため、契約書をよく確認してください。
補償の付いている保険会社に申請するのが正解で、対象外の会社に相談しても解決には結びつきません。
被害の原因を正しく見極めることが、最初の分かれ道になります。
もらい火や隣家からの延焼
隣家の火災が原因で自宅が被害を受けた場合、原則として自分の火災保険で対応することになります。
日本には「失火責任法」という法律があり、重大な過失でない限り火元の家に損害賠償を請求できないためです。
このケースでは、建物と家財の両方をカバーする補償が付いた保険を優先しましょう。
「もらい火なのに自分の保険を使うのは損」と感じるかもしれませんが、これが日本の制度なので割り切って手続きを進める必要があります。
家財だけが被害を受けた場合
建物には大きな被害がなくても、家電製品や家具、衣類などが水浸しになるケースもよくあります。
家財に対する補償が付いている保険を選び、被害を受けた品目と価格をリストアップして申請しましょう。
購入時のレシートや箱があれば、査定時の証拠として役立ちます。
古い物でも購入時の価格ベースで査定してくれる保険会社もあるので、諦めずに相談してみるのがおすすめです。
複数の保険会社に同時申請することは可能なのか
「両方の保険会社に同時に連絡してもいいのだろうか」と迷う方もいらっしゃいます。
結論から申し上げると、同時に申請すること自体は可能です。
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