「うちはマンションだから関係ない」と思っていた方へ、火災保険申請できるケースがあります

目次

「マンションだから屋根がない、火災保険は使えない」——この思い込みが機会を失わせている

「台風の後に火災保険を申請した」という話を聞いて、
「うちはマンションだから関係ないな」と思った方へ。

その判断は、半分正しく・半分間違っています。
「屋根の損傷での申請」は確かにマンション住戸ではできません。
しかし「それ以外の申請」は、マンション居住者にも当てはまるケースが存在します。

私が火災保険申請の情報を整理する中で気づいたのは、
「マンションだから関係ない」という思い込みで申請を諦めている方が
想像以上に多いという事実でした。
マンション居住者の多くは「戸建て向けの話」として
火災保険申請の情報を読み飛ばしています。
この記事はそうした方への、正直な情報提供です。

この記事では「マンションでも火災保険申請できるケース」を
条件・対象・申請手順とともに具体的に解説します。

この記事でわかること
・「マンションは関係ない」という思い込みが正しいケースと間違っているケース
・マンション居住者が申請できる可能性がある損害の種類
・「専有部分」と「共用部分」の違いと申請の仕組み
・自分の契約内容を確認するための具体的な手順
・今日から動けるアクションの優先順位

「マンションは関係ない」が正しいケースと間違っているケース

「マンションだから申請できない」という思い込みには、
「正しい部分」と「間違っている部分」が混在しています。
どこが正しくてどこが間違っているかを正確に整理することが出発点です。

「マンションは関係ない」が正しいケース

マンションの区分所有者(住戸の所有者)が
「自分の火災保険」で申請できない内容は確かにあります。

「屋根の棟板金の損傷」「屋根の防水シートの破れ」「外壁の損傷」——
これらはマンションの「共用部分」であり、
区分所有者個人の保険ではなく「管理組合の保険」が対象になります。
「自分の保険で共用部分の損傷を申請する」ことはできません。

「マンションは関係ない」が間違っているケース

一方で、以下のケースはマンション居住者でも申請できる可能性があります。

まず「専有部分(自分の部屋の中)の損害」です。
台風による雨漏りが上階から侵入して家財が濡れた・
窓が強風で割れて内装が損傷した——
こうしたケースは「建物・家財への損害」として申請できる可能性があります。

次に「落雷による家電の故障」です。
台風に伴う落雷でエアコン・テレビ・パソコンが故障した場合、
「家財保険が契約に含まれている場合」は落雷補償として申請できます。
マンションでも戸建てでも関係ありません。

最後に「台風等による窓ガラスの破損」です。
強風によって飛来物が窓ガラスに当たって割れた場合、
これは「専有部分の損傷」として申請対象になります。
「専有部分(住戸の中)への損害」は
マンション居住者でも申請できる可能性があります。

マンション居住者が知っておくべき「専有部分・共用部分・管理組合保険」の関係

「なぜマンションでは屋根の申請ができないか」という疑問への正確な答えは、
「専有部分」「共用部分」「管理組合保険」という3つの概念を理解することにあります。

「専有部分」とは何か

マンションの「専有部分」とは、
区分所有者が個人として所有・管理する範囲です。
一般的には「玄関ドアの内側から室内の壁・床・天井の仕上げ面まで」が
専有部分とされることが多いです。
ただし「玄関ドア本体・窓サッシ」は共用部分として扱われるケースが多く、
マンションの管理規約によって異なります。

自分のマンションの「専有部分の範囲」を確認するには、
管理規約の「専有部分の範囲」という条項を参照してください。

「共用部分」と「管理組合保険」

屋根・外壁・廊下・エレベーター・エントランスなどは「共用部分」です。
共用部分への損害は「管理組合が契約している保険」の対象です。
個々の区分所有者の保険では補償されません。

「台風で外壁が損傷した」という場合、
管理組合が保険会社に申請して補修費用を補填するという仕組みです。
「自分の保険から申請したい」という要望には応えられない構造になっています。

「自分の火災保険」が対象になるのはどこか

区分所有者個人が契約する火災保険の対象は、
「専有部分の建物(内装・設備)」と「家財(家具・家電・衣類など)」です。

台風・落雷・水濡れ・盗難などによって
「専有部分の内装・設備が損傷した」「家財が被害を受けた」という場合に、
個人の火災保険から給付を受けられます。

マンションの場所 区分 申請できる保険 申請する主体
屋根・外壁・廊下・共用玄関 共用部分 管理組合の火災保険 管理組合(理事会)
室内(床・壁・天井仕上げ)・設備 専有部分(建物) 区分所有者個人の火災保険 区分所有者(本人)
家具・家電・衣類・パソコン 家財 区分所有者個人の火災保険(家財特約が必要) 区分所有者(本人)
玄関ドア・窓サッシ 管理規約による(多くは共用部分) 管理組合の保険が多い(要確認) 要確認

マンション居住者が実際に申請できた損害の種類

「マンションでも申請できた」という事例から、
具体的にどのような損害が対象になったかを整理します。

ケース1:台風後の雨漏りによる家財の水濡れ損害

台風の後に上階または屋根からの雨漏りが発生し、
室内の家具・家電・床が水濡れ被害を受けた場合です。
「家財保険」が含まれている契約であれば、
被害を受けた家財への補償が申請できます。

ただしこの場合「雨漏りの原因がどこにあるか」という調査が必要です。
「上階の住人の過失(洗濯機の水漏れなど)」が原因の場合は
上階住人の個人賠償責任保険からの補償になります。
「共用部分(屋根・外壁)からの漏水」が原因の場合は
管理組合の保険と個人の家財保険の両方が関係します。

ケース2:落雷による家電の故障

台風に伴う落雷によってエアコン・冷蔵庫・テレビ・パソコンが故障した場合です。
「家財保険(落雷補償)」が含まれている契約であれば申請できます。
「家財保険が含まれているか」は保険証券で確認してください。
「建物のみの契約で家財が含まれていない」という契約では対象外になります。

私がこのケースを確認したのは、マンション在住の知人から
「台風の日に落雷があってエアコンと冷蔵庫が故障した。
マンションだから保険は使えないと諦めていたが、相談してみたら家財保険で申請できた。
合計32万円の給付金になった」という話を聞いたことがきっかけでした。
「マンションだから関係ない」という思い込みが
32万円の受取機会を消しかけていました。

ケース3:強風による窓ガラスの破損・室内への被害

台風の強風で飛来物が窓ガラスに当たって割れた場合、
ガラス自体が「専有部分か共用部分か」はマンションの管理規約によって異なりますが、
「ガラスが割れた後に室内の家財・内装が濡れた・損傷した」という
二次的な被害は個人の保険で対応できる可能性があります。

ケース4:水道管破裂・給排水設備の事故による水濡れ

マンションの室内で水道管が破裂したり、
給排水設備の事故で水濡れ被害が発生した場合、
「水濡れ補償」が含まれている保険であれば専有部分の建物・家財への補償が申請できます。
台風とは直接関係しませんが、マンション居住者が申請できる代表的なケースのひとつです。

「管理組合が申請できる損害」も見逃せない——理事や組合員向けの視点

マンションの区分所有者の中には「管理組合の役員・理事」を務めている方もいます。
または「管理組合がちゃんと保険を活用しているか知りたい」という方もいるでしょう。
管理組合としての保険活用についても整理します。

管理組合が申請できる「共用部分への台風被害」の主な例

以下の損害は管理組合が契約する火災保険から補償を受けられる可能性があります。
管理組合の保険を把握していない理事・区分所有者は、
今すぐ管理会社に確認することを推奨します。

まず「共用部分の屋根・防水層の損傷」です。
屋上防水の劣化・台風後の漏水が「共用部分への損害」として申請対象になります。
管理組合が保険会社に申請して補修費用を補填できます。

次に「外壁タイルの剥落・落下」です。
台風・強風後にタイルが剥落した場合、
共用部分の損傷として申請できます。
剥落による第三者への損害は個人賠償責任として別の補償になります。

最後に「共用エントランス・廊下・駐車場の損傷」です。
共用エントランスのガラス破損・廊下の手すりの変形・
駐車場の屋根の損傷なども管理組合保険の申請対象です。

管理組合が知っておくべき保険活用の注意点
・多くの管理組合では管理会社に保険の手配を任せきりにしているため、
 補償内容や申請手順を理事が正確に把握していないケースが多い
・「台風後の外壁損傷を申請できたが、管理組合側が知らなかった」という事例がある
・管理組合の保険証券を取り出して「補償内容・免責金額・申請先の連絡先」を確認することを推奨する
・管理会社が保険申請に消極的な場合は、理事が直接保険会社に問い合わせる権利がある

「自分のマンションで申請できるか」を確認する手順

「マンションでも申請できるかもしれない」とわかった今、
「自分の契約ではどのケースが対象になるか」を確認するための手順を整理します。

STEP 1:保険証券を取り出して「補償内容」を確認する

まず保険証券を取り出して以下の3点を確認してください。

まず「建物補償と家財補償の両方が含まれているか」です。
「建物のみの契約」では家財(家具・家電)への補償がありません。
「家財補償が含まれているか」の確認が最初のステップです。

次に「落雷補償・風災補償・水濡れ補償が含まれているか」です。
補償の種類によって申請できる損害の範囲が変わります。

最後に「免責金額」の確認です。
被害金額が免責金額を下回る場合は給付金が発生しません。
「家電1点の修理費が免責金額以下だった」という結果もあります。
「家財保険が含まれているか」という確認が
マンション居住者の火災保険活用において最も重要な確認事項です。

STEP 2:「損害の原因がどこにあるか」を特定する

マンションで損害が発生した場合、「原因がどこにあるか」によって
申請する保険が変わります。

損害の状況 原因の所在 申請する保険
台風後に室内が水濡れした 共用部分(屋根・外壁)の劣化による漏水 管理組合の保険+個人の家財保険
上階からの水漏れで室内が濡れた 上階住人の設備の不具合・過失 上階住人の個人賠償責任保険
落雷でエアコンが故障した 落雷という外力 個人の家財保険(落雷補償)
台風で窓ガラスが割れて家財が濡れた 台風という外力 個人の家財保険(風災補償)
室内の水道管が破裂した 給排水設備の事故 個人の火災保険(水濡れ補償)

STEP 3:被害の証拠を記録する

「損害があった」という事実を証明する写真・記録を残してください。
被害を発見した日時・被害箇所の写真・修繕業者の診断書・購入時の領収書——
これらが申請書類として機能します。

落雷による家電故障の場合は「修理業者の診断書(落雷による故障と推定される)」が
有力な証拠になります。
購入時のレシートや保証書があれば購入価格の証明になります。

STEP 4:保険会社のコールセンターに確認の電話を入れる

「この損害は申請できますか」という電話を保険会社のコールセンターに入れてください。
担当者が「申請できるかどうか・必要な書類・手続きの流れ」を案内してくれます。
「申請できるかどうかわからないが確認したい」という電話でも対応してもらえます。

「マンションだから関係ない」と思い込んでいた方が申請した実例

「マンション居住者が申請して給付金を受け取った」という事例を整理します。

事例1:東京・分譲マンション・落雷で家電3点が故障→28万円

東京都内の分譲マンションに住むAさんです。
台風の日の落雷でエアコン・テレビ・Wi-Fiルーターが一度に故障しました。
「マンションだから保険は使えない」と思っていましたが、
知人に「家財保険で申請できるかもしれない」と言われ、
保険証券を確認したところ「家財保険・落雷補償付き」の契約でした。

各機器の修理見積書・メーカーの故障診断書を揃えて申請した結果、
28万円の給付金が認定されました。
「マンションだから」という思い込みで諦めていたら失っていた金額です。

事例2:大阪・賃貸マンション・台風で室内が水濡れ→家財18万円

大阪府内の賃貸マンションに住むBさんです。
台風後に室内の天井から雨漏りが発生し、
ソファ・カーペット・洋服が水濡れしました。

賃貸でも「家財保険(家財特約)」が含まれている保険に加入していたため、
家財への被害として申請した結果18万円が認定されました。
「賃貸は建物の修繕を申請できない」という正しい認識を持ちながらも、
「家財への被害は申請できる」という事実を知っていたことが
18万円の受取につながりました。

私が火災保険申請の情報を集める中で実感したのは、
「マンションだから関係ない」という思い込みが
「家財保険の活用機会」を年々積み重ねて失わせているという事実です。
「自分の契約に何が含まれているか」を知っているかどうかで、
同じ損害が「申請できた」と「申請しなかった」という結果に分かれます。

保険の正しい活用について情報発信している@mansion_hoken氏も同様のことを述べており、「マンションだから関係ないというのは屋根への申請に限った話。落雷・水濡れ・風災による家財への損害は家財保険があれば申請できる。保険証券を出してきて家財保険が含まれているかを確認するだけで、申請できるかどうかがわかる」という発信が大きな共感を呼んでいました。まさにその通りです。

「賃貸マンションでも申請できるのか」——よくある疑問に正直に答えます

「分譲マンションの話であって、賃貸には関係ない」という疑問を持つ方がいます。
この疑問への正確な回答を整理します。

賃貸マンション居住者の保険活用の考え方

賃貸マンションの居住者は「建物そのもの」の所有者ではないため、
建物への損害を申請する立場にはありません。
しかし「家財(自分の所有物)への損害」は
「賃貸住宅向け家財保険(家財特約付き)」で申請できます。

多くの賃貸契約では「入居時に火災保険への加入」を義務付けています。
その保険に「家財補償・落雷補償・水濡れ補償」が含まれているかどうかを
今すぐ確認してください。
「加入しているが何が補償されているか知らない」という方が多いです。

私が賃貸住まいの知人に「保険証券を見せてほしい」と頼んだとき、
「加入していた保険に落雷補償と水濡れ補償が入っていた。
去年の台風後に家電が故障していたのに、申請できると知らなかった」という
話を聞きました。
「賃貸だから関係ない」という思い込みと「加入内容を知らない」という2つが重なって、
申請できたはずの機会を失っていました。

賃貸マンション居住者の火災保険活用まとめ
申請できないもの:建物そのものへの損害(オーナーの保険が対象)

申請できるもの(家財保険が含まれている場合):
 → 落雷による家電の故障
 → 上階からの水漏れ・浸水による家財への被害
 → 台風・強風による窓破損後の家財への二次被害
 → 給排水設備の事故による家財への水濡れ

まず保険証券または保険会社に「家財補償が含まれているか」を確認してください。
「含まれている」とわかった瞬間から、申請できるケースが見えてきます。

「今日やること」——マンション居住者の確認リスト

「マンションでも申請できるケースがある」とわかった今日から、
自分の契約で申請できる可能性があるかどうかを確認する行動を始めてください。
全てコストゼロでできます。

今日中に完了させる確認リスト

以下の3点を今日中に確認することで、
「自分は申請できる立場にあるか」という答えが出ます。

まず「保険証券を取り出して『家財保険が含まれているか』を確認する」ことです。
「建物のみの契約」か「家財も含む契約」かを確認してください。
賃貸の方は「借家人賠償責任特約・家財特約」の有無を確認します。

次に「過去3年以内に落雷・水濡れ・風による家財・室内への被害がなかったか振り返る」ことです。
「落雷で家電が故障した」「室内が水濡れした」という記憶がある方は、
被害発生日から3年以内であれば申請の権利が残っています。

最後に「保険会社のコールセンターの番号をスマートフォンに保存する」ことです。
「申請できるか確認したい」という電話をすぐにかけられる状態を作ることが、
次の台風・落雷後に素早く動ける準備です。

まとめ:マンション居住者が今すぐ取り組む3か条
1. 保険証券を今日取り出して「家財保険・落雷補償・水濡れ補償の有無・免責金額」を確認する
2. 過去3年以内の「落雷による家電故障・水濡れ被害・強風による室内への損害」を振り返る
3. 保険会社のコールセンター番号をスマートフォンに保存して「確認するだけの電話を一本かける準備」をする

「マンションだから関係ない」という判断は、
保険証券を確認してから出してください。
確認する前に諦めることだけが、唯一の確実な損失です。

「屋根がないから」「共用部分は管理組合が申請するから」——
この2点は正しい知識です。
しかし「だから自分には全く関係ない」という結論は、
保険証券の補償内容を確認するまでは出せません。
今日、保険証券を取り出してください。

この記事の監修者

損害保険診断士協会

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