2025年11月4日
目次
「あっ、やってしまった!」その瞬間、火災保険を思い浮かべますか?
「あーっ!」
リビングに響きわたる、お子さんの、甲高い声。恐る恐る、見に行くと、おもちゃが、テレビの液晶画面に、無残にも、突き刺さっている…。
あるいは、模様替えの、真っ最中。重い、タンスを、運ぼうとした、その瞬間、手が滑り、床に置いてあった、大切な、ノートパソコンの上に、鈍い音を立てて、落としてしまった…。
私たちの、日常生活には、こうした、思わず、頭を抱えてしまうような、「まさか」の、アクシデントが、潜んでいます。
そんな時、あなたの、胸を締め付けるのは、壊れてしまった、モノへの、愛着と、そして、「修理に、一体いくらかかるんだろう…」という、あまりにも、現実的な、お金の、心配ではないでしょうか。
「火災保険」という言葉を、あなたが、思い浮かべるのは、きっと、「家が、火事になった時」や、「台風で、屋根が飛ばされた時」といった、大きな、災害の時だけ、かもしれません。
もし、そうだとすれば、それは、非常にもったいない、「思い込み」を、している、可能性があります。
なぜなら、あなたが、毎月、コツコツと、支払い続けている、その火災保険料は、こうした、日常の、「うっかり」による、大切な「家財(かざい)」の、損害までも、優しく、カバーしてくれる、心強い「お守り」と、なるかもしれないからです。
この記事では、「火災保険は、火事だけ」という、その、固くなった、思い込みを、そっと、解きほぐし、「家財」の、「破損・汚損(はそん・おそん)」という、あまり知られていない、しかし、知っている人だけが、得をする、強力な、補償の、秘密について、どこよりも、分かりやすく、そして、あなたの、心に、寄り添うように、丁寧にお話ししていきます。
あなたの保険証券は、お宝?「破損・汚損」は、オプションです
まず、最初に、あなたの、期待に、満ちた、心に、一つだけ、大切な、現実を、お伝えしなければなりません。
それは、この、夢のような、「破損・汚損」の補償が、すべての、火災保険に、自動で、付いているわけでは、ない、ということです。
この補償は、多くの場合、「基本のプラン」には、含まれておらず、「特約(とくやく)」、つまり、追加の、オプションとして、契約者が、自ら、選択して、加入するものなのです。
保険料を、節約するために、この、特約を、外して、契約している、ケースも、少なくありません。
まずは、今すぐ、あなたの、お手元にある、「保険証券」を、探し出してみてください。
その、難しい漢字が、並んだ、書類の中に、「破損・汚損」や、「不測かつ突発的な事故」といった、文字が、書かれているかどうか。
それこそが、あなたの家計を、救う、お宝の、ありかを、示す、最初の、そして、最も、重要な、一歩となるのです。
第1関門:「家財」と「建物」の、明確な境界線
「破損・汚損」の補償が、あなたの、保険証券に、無事に、見つかった、あなた。
おめでとうございます。あなたは、最初の、関門を、見事に、突破しました。
しかし、次に、あなたが、越えなければならない、もう一つの、大切な、関門が、あります。
それは、あなたが、壊してしまった、そのモノが、火災保険の世界で、「家財(かざい)」として、扱われるのか、それとも、「建物(たてもの)」として、扱われるのか、という、大きな、仕分けの問題です。
なぜなら、火災保険は、「建物の補償」と、「家財の補償」が、別々の、契約になっていることが、ほとんどだからです。
「家財」とは、具体的に、何を指すの?
この、仕分けのルールは、実は、とても、シンプルです。
ごく、簡単に、言ってしまうと、「その家に、固定されておらず、動かすことができるモノ」が、「家財」です。
例えば、あなたが、引っ越しを、するときのことを、想像してみてください。
トラックに、積み込んで、次の家に、持っていくものが、すべて、「家財」だと、考えれば、分かりやすいですね。
具体的には、以下のようなものが、「家財」に、含まれます。
・家電製品:テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、パソコン、掃除機など。
・家具:ソファ、テーブル、タンス、食器棚、ベッドなど。
・日用品:衣類、食器、鍋、布団、本、おもちゃ、自転車など。
あなたが、日常の、アクシデントで、壊してしまう可能性のあるものの、ほとんどは、この「家財」に、含まれていることが、お分かりいただけるかと思います。
「建物」に含まれる、意外なモノたち
一方で、「建物」とは、土地に、固定されていて、簡単には、動かせない、モノを指します。
柱や、屋根、壁、床、窓ガラス、といった、家の、構造そのものは、もちろん、「建物」です。
しかし、ここで、注意が、必要なのが、「これって、家財じゃないの?」と、思わず、迷ってしまうような、グレーゾーンの、存在です。
例えば、以下のようなものは、「建物」の一部、あるいは、「建物付属設備」として、扱われることが、一般的です。
・作り付けの、収納家具(例:壁に、作り付けられた、クローゼットや、食器棚)
・システムキッチン、ユニットバス
・エアコン(特に、壁に、固定されている、一般的なタイプ)
・床暖房、給湯器(ボイラー)
・畳、ふすま、障子
「エアコンを、掃除中に、壊してしまった!」という、ケース。もし、あなたの契約が、「家財」の、「破損・汚損」補償しか、入っていなかった場合、エアコンは、「建物」扱いとなり、保険金が、支払われない、という、悲しい事態も、起こり得るのです。
あなたの、保険証券が、「建物」と、「家財」の、両方の、「破損・汚損」を、カバーしてくれているか。そこも、併せて、確認しておくと、さらに、安心ですね。
「家財」と「建物」かんたん仕分けチェック
これはどっち?と迷ったら、参考にしてみてください。
| 品目 | 分類 | ワンポイント解説 |
|---|---|---|
| テレビ・冷蔵庫 | 家財 | コンセントを抜けば、動かせますね。 |
| ソファ・ベッド | 家財 | 引っ越しの時に、持っていきます。 |
| 壁掛けエアコン | 建物 | 建物に付属する「設備」と、みなされます。 |
| 畳・ふすま | 建物 | 動かせそうですが、建物の一部として、扱われます。 |
| ノートパソコン | 家財 | 代表的な「家財」です。(※ただし、注意点あり) |
【ケーススタディ】こんな「うっかり」も、保険で直せる!家財の破損・汚損、具体例
「家財」の範囲と、「破損・汚損」の、補償の存在。二つの、関門を、クリアした、あなた。
いよいよ、ここからは、この、心強い補償が、あなたの、日常生活の、どのような、「しまった!」を、救ってくれるのか、その、具体的な、ケーススタディを、見ていきましょう。
この補償が、適用されるための、キーワードは、「不測かつ、突発的な、偶然の事故」であること。
つまり、「わざと」ではなく、「予測も、できなかった」アクシデントが、対象となります。
「えっ、こんなことでも、いいの?」という、驚きの事例が、たくさん、出てきますよ。
ケース1:お子さんや、お孫さんの、元気すぎる「いたずら」
小さなお子さんが、いらっしゃる、ご家庭は、まさに、この補償が、大活躍する、舞台です。
子どもたちの、好奇心や、エネルギーは、時に、私たちの、想像を、超えて、突発的な、事故を、引き起こします。
・室内で、おもちゃのバットを、振り回していたら、テレビの液晶画面に、当たってしまい、画面が、割れてしまった。
・ミニカーを、走らせて、遊んでいたら、止まりきれずに、ガラス製の、ローテーブルに、激突し、ひびが、入ってしまった。
・油性マジックで、お絵かきを、していたら、紙を、はみ出して、高価な、革張りのソファにまで、落書きを、してしまった。(これが「汚損」です)
こうした、お子さんが、原因の、事故は、親の、監督不行き届き、と、諦めてしまいがちですが、これらも、すべて、「不測かつ、突発的な、偶然の事故」として、保険の対象となる、可能性が、非常に高いのです。
ケース2:模様替えや、大掃除の、真っ最中に…
気分転換の、模様替えや、年末の、大掃除。そんな、非日常の、作業中も、アクシデントは、起こりやすいものです。
・リビングの、重い、食器棚を、夫婦二人で、動かしていたら、バランスを崩し、倒してしまい、中の、大切な食器が、ほとんど、割れてしまった。
・掃除機を、かけていたら、コードが、棚の上の、ノートパソコンに、引っかかってしまい、床に、落下させて、壊してしまった。
・高い場所の、ほこりを、取ろうとして、椅子に乗ったら、ぐらついて、転びそうになり、とっさに、掴んだ、カーテンレールが、重みで、曲がってしまった。(※カーテンレールは「建物」扱いの可能性あり)
こうした、「作業中の、うっかり」も、もちろん、補償の対象です。「自分のせいだから」と、落ち込む前に、まずは、保険会社に、相談してみる、価値が、あります。
ケース3:何気ない、日常の、ふとした瞬間の「あっ!」
特別なことを、していなくても、事故は、起こります。何気ない、日常の、ワンシーンにこそ、危険は、潜んでいます。
・キッチンで、料理中、圧力鍋を、火にかけているのを、すっかり忘れ、空焚きしてしまい、鍋そのものを、焦がして、使い物にならなくしてしまった。
・お風呂上がりに、ドライヤーを、使っていたら、手が滑り、洗面台の、陶器のボウルに、落としてしまい、ひびが、入ってしまった。(※洗面台は「建物」扱いです)
・ルンバ(お掃除ロボット)が、稼働中に、花瓶に、ぶつかって、倒してしまい、高価な、じゅうたんが、水浸しになり、シミが、取れなくなってしまった。(※「汚損」の例)
いかがでしょうか。こうした、具体的な例を、聞くと、「破損・汚損」補償が、いかに、私たちの、暮らしの、すぐ、そばに、ある、頼れる、存在であるかが、お分かりいただけたかと思います。
知っておかないと、大損!保険が「使えない」ケースを、徹底解剖
「こんなことでも、保険が使えるなんて、最高!」
そう、期待に、胸を膨らませている、あなた。しかし、ここで、一度、冷静になって、その、強力な、補償の、「限界」についても、知っておく必要があります。
「破損・汚損」補償は、決して、万能では、ありません。保険会社が、「これだけは、ご勘弁ください」と、定めている、いくつかの、明確な、「対象外(NG)ケース」が、存在するのです。
この、「使えない」ケースを、知っておかないと、「申請したのに、断られた…」という、残念な結果を、招いてしまいます。
最大の壁:「経年劣化」と「自然な故障」は、100%対象外
まず、絶対に、越えられない、最大の壁。それは、「経年劣化」と、「自然な故障」です。
「破損・汚損」補償は、あくまで、「突発的な、外からの力」による、事故を、対象としています。
・経年劣化:
「長年、使ってきた、ソファの、革が、自然に、すり切れて、破れてきた」
「じゅうたんが、日に焼けて、色あせてしまった」
これらは、時間が、経てば、いつかは、必ず起こる、自然な「老化」であり、事故では、ありません。
・自然な故障(電気的・機械的事故):
これが、最も、間違いやすい、ポイントです。
「テレビが、普通に、見ていたら、突然、プツンと、消えて、映らなくなった」
「冷蔵庫が、ある朝、起きたら、冷えなくなっていた」
これらは、「外からの力」による、破損では、ありません。製品の、内部的な、機械の、不具合による、「自然な故障」です。
こうした、「自然故障」は、「破損・汚損」補償では、一切、カバーされません。(※ただし、落雷が原因の場合は、別の補償で、対象となる可能性があります)
「わざと」や「重大なうっかり」は、許されません
当然のことですが、保険金を目当てに、わざと(故意に)、物を壊す行為は、保険金詐欺という、犯罪です。
また、「故意」とまでは、いかなくても、「通常では、考えられないような、ひどい、うっかりミス(重大な過失)」による、損害も、対象外となる、可能性があります。
例えば、「熱い、アイロンを、かけっぱなしにして、外出してしまい、床が、焦げてしまった」といった、ケースは、単なる「うっかり」を、超えていると、判断される、かもしれません。
泣きっ面に蜂?「ペット」による、ひっかき傷や、破損
ペットを、飼っている、ご家庭にとって、これは、非常に、耳の痛い、話かもしれません。
「飼っている、猫が、お気に入りの、ソファで、爪を研いで、ボロボロにしてしまった」
「犬が、走り回って、テレビ台に、ぶつかり、テレビを、倒してしまった」
こうした、愛する、ペットが、原因の、損害は、残念ながら、多くの保険会社で、「破損・汚損」補償の、対象外と、定められています。
なぜなら、ペットによる、傷や、汚れは、ある程度、「予測可能な、日常の、出来事」と、みなされてしまう、からです。
ただし、保険会社によっては、「ペットによる、突発的な、事故」を、補償の対象に、含めている、特別なプランも、存在するようです。
ペットオーナーの方は、ご自身の、契約内容を、今一度、詳しく、確認してみる、必要が、ありそうですね。
「持ち運べる」モノの、落とし穴。スマホ・メガネ・自転車
最後に、家財の中でも、特に、「外に、持ち出して、使う」ことが、前提となっている、モノたちにも、注意が、必要です。
・スマートフォン、ノートパソコン(携帯可能なもの)、タブレット端末
「家の中で、スマホを、床に落として、画面を、割ってしまった」
これは、一見、補償の対象に、なりそうですが、これらの、「携帯式、電子機器」は、その、あまりの、リスクの高さから、「破損・汚損」補償の、対象から、除外されている、ケースが、非常に多いのです。
・メガネ、コンタクトレンズ、補聴器
これらも、同様に、「うっかり、踏んで、壊してしまった」としても、補償の対象外と、されていることが、ほとんどです。
・自転車、サーフボードなど
「家の中で、自転車を、倒して、壊してしまった」場合は、補償の対象と、なる可能性がありますが、「家の、外(敷地外)」で、使用中に、転倒して、壊した、といった場合は、補償の対象外となります。
このように、「破損・汚損」補償は、無敵では、ありません。その、限界を、知っておくことも、賢く、保険と、付き合うための、大切な、知識なのです。
1円も損しないために!家財の「破損・汚損」申請、完璧な5ステップ
「うちの、このケース、もしかしたら、保険が使えるかもしれない!」
そう、確かな、希望の光が、見えてきた、あなた。
ここからは、いよいよ、その、可能性を、現実の「保険金」という、確かな形に、変えるための、具体的な、実践編へと、駒を、進めていきましょう。
「手続きって、なんだか、難しそう…」
そんな、不安を、感じる必要は、全くありません。これから、お話しする、たった、5つのステップを、一つひとつ、順番に、そして、丁寧に進めていけば、誰でも、迷うことなく、ゴールへと、たどり着けます。
ステップ1:【止まる】まず、保険会社へ、電話を一本
「あっ、壊してしまった!」
その瞬間、あなたが、真っ先に、取るべき行動。それは、壊れたものを、すぐに、片付けたり、修理業者を、呼んだり、することでは、ありません。
まずは、その、手を、止めて、すぐに、保険会社の、事故受付窓口へ、電話を、入れること。これが、鉄則です。
なぜなら、先に、修理してしまったり、捨ててしまったりすると、「本当に、どれくらいの、損害だったのか」を、証明することが、難しくなってしまうからです。
電話口で、伝えるべきは、
1. あなたが、誰であるか(契約者情報)
2. 「いつ」「どこで」「何が」「どのようにして」壊れたのか(事故の状況)
3. その損害が、「破損・汚損」補償の、対象となるか、確認したい、という、意思
この、一本の、電話が、すべての、始まりであり、保険会社から、今後の、正しい、手順について、案内を、もらえる、最も、確実な、方法なのです。
ステップ2:【撮る】「証拠写真」は、あらゆる角度から
保険会社への、連絡と、同時に、あるいは、その直後に、必ず、行うべきこと。
それは、ステップ1で、お話しした、「証拠写真」の、撮影です。
・壊れてしまった、モノ(家財)そのものの、写真:
全体像と、破損箇所の、アップを、両方、撮影します。割れた、破片なども、あれば、一緒に、撮っておきましょう。
・「原因」が、分かる写真:
もし、お子さんが、投げた、おもちゃが、原因なら、その、おもちゃと、壊れたテレビを、一緒に、撮影します。家具を、倒して、ぶつけたなら、その、家具と、壊れたモノが、一緒に写るように、撮影すると、事故の、状況が、より、伝わりやすくなります。
・被害の「全体像」が、分かる写真:
例えば、ソファに、落書きを、されてしまったなら、その、落書き部分の、アップだけでなく、ソファが、置かれている、リビングの、部屋全体の、写真も、撮っておくと、状況が、より、客観的に、伝わります。
これらの写真は、保険会社に、提出する、重要な、証拠となります。決して、片付けを、急いでは、いけません。
ステップ3:【集める】必要書類(保険金請求書・修理見積書)の準備
保険会社への、連絡後、数日で、あなたの元に、申請に、必要となる、書類一式が、郵送で、届きます。
主に、以下の、二つの書類を、準備することになります。
1. 保険金請求書:
保険会社から、送られてくる、メインの書類です。契約者の情報、事故の状況、保険金の、振込先口座などを、記入します。記入漏れや、捺印漏れがないように、注意深く、確認しましょう。
2. 修理費用の見積書(または、購入時の領収書):
これが、保険金額を、算定するための、根拠となります。
・もし、修理が、可能な場合は、修理業者に、依頼し、「修理費用の見積書」を、作成してもらいます。
・もし、修理が、不可能で、買い替えるしかない場合は、同じ程度の、新品を、購入した場合の、「見積書」や、実際に、購入した際の、「領収書」を、準備します。
・あるいは、壊れてしまったモノの、「購入当時の、領収書」が、残っていれば、それも、有力な、資料となります。
これらの、書類が、すべて、揃ったら、保険会社に、返送します。
ステップ4:【待つ】保険会社による、審査
あなたが、提出した、書類一式(請求書、写真、見積書など)に基づいて、保険会社が、審査を、行います。
その、損害が、本当に、「破損・汚損」補償の、対象となるのか、そして、請求されている、金額は、妥当なものか、どうかを、判断するのです。
家財の、破損のような、比較的、損害額が、小さいケースでは、鑑定人による、現地調査は、省略され、書類審査のみで、スムーズに、結果が、通知されることも、多いです。
審査にかかる期間は、早いもので、数日、通常は、数週間程度を、見ておくと、よいでしょう。
ステップ5:【決める】「免責金額」を、差し引いた、保険金の、受け取り
無事に、審査が通ると、保険会社から、支払われる、保険金の額が、決定し、その旨が、書面で、通知されます。
ここで、最後にして、最大の、注意点が、「免責金額(めんせききんがく)」の、存在です。
免責金額とは、「その、損害額のうち、この金額までは、ご自身で、負担してくださいね」という、「自己負担額」のことです。
この、免責金額は、「破損・汚損」補償には、必ずと言っていいほど、設定されており、その額は、「1万円」や、「3万円」、あるいは、「5万円」など、契約によって、異なります。
例えば、あなたの、免責金額が、「3万円」だったとします。
テレビの、修理費用の、見積額が、「10万円」だった場合、あなたに、支払われる保険金は、10万円から、免責金額の3万円を、差し引いた、「7万円」となります。
もし、修理費用が、「2万5千円」だった場合は、どうでしょうか。損害額が、免責金額(3万円)を、下回っているため、保険金は、残念ながら、「ゼロ円」となってしまいます。
この、「免責金額」の、存在を、知っておかないと、「申請したのに、思ったより、お金が、もらえなかった…」という、がっかりした、気持ちに、なってしまいます。
修理費用の、見積額と、ご自身の、免責金額を、天秤にかけて、「本当に、申請するべきか」を、冷静に、判断することも、時には、必要なのです。
家財の「破損・汚損」補償、よくあるギモンを、スッキリ解決!
「破損・汚損」補償の、魅力と、その、具体的な、申請手順について、かなり、深く、ご理解いただけたのでは、ないでしょうか。
最後の章では、これまでにお話ししきれなかった、多くの方が、抱きがちな、より細かな、しかし、いざという時に、「知っておきたい!」と思うような、疑問について、一問一答の、Q&A形式で、スッキリと、解決していきます。
あなたの、心の中に残った、最後の「もやもや」を、ここで、完全に、晴らしていきましょう。
Q1. 保険を使うと、来年からの、保険料は、上がってしまいますか?
A. いいえ、上がりません。それが、火災保険の、最大のメリットです。
この疑問は、本当に、多くの方が、心配される、ポイントですね。
自動車保険の場合、保険を使うと、翌年の「等級」が下がり、保険料が、上がってしまいます。
しかし、火災保険には、この「等級制度」が、存在しません。
したがって、家財の、破損・汚損で、一度、保険を使ったからといって、それが、直接的な、原因となって、翌年の、あなたの、保険料が、個別に、値上がりする、ということは、基本的には、ありません。
(※ただし、あまりにも、短期間に、何度も、繰り返し、請求するような、極端なケースでは、次回の、契約更新の際に、保険会社から、何らかの、見直しを、提案される、可能性は、ゼロでは、ありません)
免責金額を、超える、損害であれば、保険料の、値上がりを、心配することなく、ためらわずに、申請する。それが、賢い、選択です。
Q2. 賃貸マンション(アパート)に住んでいる場合、誰の保険を、使うのですか?
A. あなた自身が、加入している、「あなたの(家財の)火災保険」を使います。
賃貸住宅に、お住まいの場合、建物そのものは、大家さんの、持ち物ですが、その中に、置いてある、テレビや、ソファ、パソコンといった、「家財」は、すべて、あなたの、持ち物ですね。
ですから、その、あなたの、大切な「家財」が、壊れてしまった場合は、大家さんが、加入している、火災保険ではなく、あなたが、入居時に、契約した、あなた自身の、「家財保険」に、付帯されている、「破損・汚損」補償を、使うことになるのです。
賃貸契約の際に、不動産会社から、半ば、義務のように、火災保険への、加入を、勧められたかと、思いますが、その、保険証券を、今一度、確認してみてください。そこにも、この、心強い、補償が、眠っている、かもしれません。
Q3. 「時価」と「新価」、どちらで、補償されるのですか?
A. 現在の契約は、ほとんどが「新価(しんか)」です。ただし、古い契約は、要注意です。
これは、保険金の額に、直結する、非常に、重要な、ポイントです。
・「時価(じか)」とは、購入してからの、年月の、経過によって、価値が、下がった分(減価償却)を、差し引いた、現在の、価値の、ことです。もし、10年前に、30万円で、買った、テレビが、壊れた場合、現在の、時価は、「3万円」と、評価され、それしか、支払われない、という、悲しい事態も、起こり得ます。
・「新価(しんか)」(または、再調達価額)とは、それと、同じものを、「今、新品で、買い直すとしたら、いくらかかるか」という、金額を、基準に、補償する、方式です。現在の、火災保険は、この「新価」での、契約が、主流となっています。
もし、あなたの、保険契約が、何年も、見直しを、していない、古い、契約のままだと、この、不利な、「時価」契約に、なっている、可能性があります。
「破損・汚損」補償の、有無と、併せて、この、補償の、基準が、「新価」と、なっているかどうかも、必ず、確認しておきましょう。
Q4. 申請の「期限」は、ありますか? 3年前の、破損でも、大丈夫?
A. 法律上の、時効は「3年」です。諦めるのは、まだ、早いかもしれません。
火災保険の、保険金を、請求する権利は、法律(保険法)によって、損害が、発生した日(これを行使することができる時)から、「3年間」で、時効によって、消滅する、と定められています。
逆に、言えば、被害に、あってから、3年以内であれば、あなたは、いつでも、保険金を、請求する、正当な、権利を、持っている、ということです。
「そういえば、1年前に、子どもが、壊した、あの、タブレット(※対象外の可能性あり)、そのままだったな…」
「2年前に、引っ越しの時に、傷つけてしまった、あの、高級家具…」
もし、その、破損の原因が、突発的な、事故によるもので、かつ、あなたの、保険に、「破損・汚損」補償が、付いていれば、今からでも、申請できる、可能性は、ゼロでは、ありません。
ただし、時間が、経てば、経つほど、「本当に、その時の、事故が、原因なのか」を、証明するのは、難しくなります。被害に、気づいたら、できるだけ、早めに、行動を、起こすのが、賢明であることは、間違いありません。
あなたの「うっかり」は、保険が守る。正しい知識で、安心な毎日を
「破損・汚損」補償という、あまり、知られていない、しかし、非常に、心強い、火災保険の、もう一つの、顔。
その、魅力と、活用法、そして、注意点について、ここまで、長い、旅路に、お付き合いいただき、本当に、ありがとうございました。
火災保険は、もう、決して、「火事」のためだけの、縁遠い、存在では、ありません。
それは、私たちの、日常生活の、本当に、すぐ、そばに、潜んでいる、「あっ!」という、小さな、アクシデントからも、あなたの、家計と、心の、平穏を、優しく、守ってくれる、頼れる、パートナーなのです。
大切なのは、その、パートナーの、存在を、あなたが、「知っている」かどうか。
そして、いざという時に、その、手を、借りるための、ほんの、少しの「勇気」と、「知識」を、持っているかどうか。
この記事が、あなたの、火災保険への、認識を、新しく、塗り替え、そして、これから先の、あなたの、毎日に、これまで、以上の、大きな「安心」を、もたらす、ささやかな、きっかけと、なれたなら、これほど、うれしいことは、ありません。
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